【助成金情報】キャリアアップ助成金の離職区分に関する要件とは?1A・3Aの意味と受給への影響|岡山・倉敷

キャリアアップ助成金には離職区分1A・3A(特定受給資格者となる離職理由)に関する要件がある

助成金の申請要件、過去の退職者の離職状況まで確認していますか?

パートタイマーや契約社員を正社員に転換する際に、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の活用を考える企業は多いと思います。

申請を検討するとき、まず確認されるのは、

・正社員転換の制度が就業規則に定められているか
・正社員転換後6か月間の賃金が、転換前6か月間の賃金と比べて3%以上増えているか

といった点でしょう。

しかし、このコースには、こうした要件とは別に、過去の離職状況に関する要件があります。

雇用保険の「離職区分1A・3A(特定受給資格者となる離職理由)」に該当する離職者が一定数以上いる場合、助成金の受給に影響することがあります。

正社員転換や賃金の要件に目が向きがちなため、見落としやすいポイントです。

この記事では、中小企業の経営者や人事労務担当者の方に向けて、次の内容を解説します。

  • 離職区分1A・3Aの意味と、離職理由が決まる流れ
  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)の離職者数に関する要件
  • 同様の要件が設けられている助成金
  • 助成金の活用を見据えて、日頃から取り組みたい労務管理

離職区分1A・3Aとは?雇用保険の離職理由を解説

離職区分とは?

離職区分とは、会社を辞めた人に交付される雇用保険の「離職票」に記載されるコードのことです。

離職の理由に応じて区分されており、助成金の要件にある「1A」「3A」も、このコードのことを指しています。

一般には「会社都合退職」「自己都合退職」と呼ばれることがありますが、雇用保険の手続きでは、離職理由に応じてコードで区分されています。

離職区分1A・3Aとは、どんな離職理由か

厚生労働省の「特定受給資格者となる離職理由の判定基準」では、次のとおり説明されています。

  • 1A:解雇等による離職
  • 3A:退職勧奨のほか、事業縮小や賃金の大幅な低下などによる、正当な理由のある自己都合離職等

どちらも、雇用保険で「特定受給資格者」とされる離職理由に含まれています。

特定受給資格者とは、倒産や解雇などにより、再就職の準備をする時間的な余裕がないまま離職せざるを得なかった人のことです。該当すると、失業手当(基本手当)の受給資格や給付日数の面で手厚くなる場合があります。

3Aには「自己都合」という言葉が含まれていますが、事業縮小や賃金の大幅な低下など、やむを得ない事情のある離職が想定されています。

名称だけで「自分から辞めたのだから関係ない」と判断しないようにしましょう。

離職理由は、会社が一方的に決めるものではありません

離職理由は、会社が自由に決められるものではありません。大まかな流れは次のとおりです。

  1. 会社が、ハローワークに離職証明書を提出します。離職理由もここに記載します。
  2. ハローワークの雇用保険適用部門が、離職証明書の記載内容や添付書類をもとに、1A・3Aなどの区分を判断します。判断の基準として、厚生労働省は「離職区分コード早見表」を公表しています(ハローワークが離職票を発行する際の判断基準を示したもので、最終的な判定ではありません)。
  3. 離職した本人は、離職票に自分が認識している離職理由を記載して、ハローワークで手続きを行います。
  4. 最終的には、雇用保険の受給資格を決定する際に、本人への確認や調査を経て離職理由が判定されます。

会社が離職証明書に記載した内容は、ハローワークが判断する際の重要な資料ですが、その記載だけで最終的な離職理由が確定するわけではありません。会社の記載と、本人の認識や実際の経緯とが食い違う場合は、確認や調査が行われることになります。助成金の要件で数えられるのも、雇用保険の受給資格の決定が行われた人です。

退職届があるからといって、必ずしも自己都合退職になるわけではありません

注意したいのは、退職届が提出されていても、それだけで自己都合の離職と判断されるわけではないという点です。

たとえば、退職勧奨を受けて退職届を出した場合や、事業の縮小、賃金の大幅な低下などを背景に退職した場合は、退職届の形式がとられていても、3Aなどに該当する可能性があります。大切なのは書面の有無ではなく、離職に至った実際の経緯です。

  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)の離職者数に関する要件

キャリアアップ助成金には離職状況に関する2つの別個の要件があります。

対象期間:正社員転換日の前日から起算して6か月前の日から、正社員転換日から1年を経過する日まで(転換の前後をあわせて約1年半)

要件 内容
要件①:解雇等の事業主都合による離職 対象期間中に、雇用保険被保険者を、解雇など事業主の都合により離職させていないこと(天災その他やむを得ない理由で事業の継続が困難となった場合や、労働者の責めに帰すべき理由による解雇は除かれます)
要件②:1A・3Aの離職者割合 対象期間中に離職区分1Aまたは3Aで離職した人の割合が、6%を超えていないこと(対象者が3人以下の場合は、この割合要件の対象外)

要件①と要件②は、どちらか一方を満たしていればよいというものではなく、それぞれについて確認する必要があります。

この記事では、見落としやすい要件②を中心に、詳しく見ていきます。

要件②(1A・3Aの離職者割合)で確認される内容

項目 内容
対象となる離職者 特定受給資格者となる離職理由のうち、離職区分1Aまたは3Aに該当する理由で離職し、雇用保険の受給資格の決定が行われた人
割合の分母 正社員転換日における、その事業所の雇用保険被保険者数
判定 対象となる離職者が4人以上で、かつ、その割合が6%を超える場合は、要件に抵触する

つまり、「対象となる離職者の人数 ÷ 正社員転換日の雇用保険被保険者数」で割合を計算し、その割合が6%を超えていないことが求められます。雇用保険被保険者数は、その事業所で雇用保険に加入している従業員の数のことです。

ただし、対象となる離職者が3人以下の場合は、この6%の割合要件の対象外とされています。人数と割合の両方を満たしたときに、はじめて要件②に抵触する点がポイントです。

雇用保険被保険者数 対象離職者 割合 判定
40人 3人 7.5% 3人以下のため対象外
40人 4人 10% 要件に抵触
100人 6人 6% 6%を超えないため抵触しない

例えば、雇用保険被保険者40名、対象となる離職者が3人だった場合、割合だけを見ると6%を超えていても、対象者が3人以下であれば割合要件の対象外になります。

キャリアアップ助成金以外にもある!離職者割合要件が設けられている助成金

離職区分1A・3Aの離職者に関する要件は、キャリアアップ助成金だけのものではありません。
特定受給資格者の割合に関する支給要件を設けている助成金は、次の9つの助成金です。

<特定受給資格者の割合にかかる支給要件を設けている助成金一覧表>

  • 産業雇用安定助成金:産業連携人材確保等支援コース、スキルアップ支援コース

  • 早期再就職支援等助成金:雇入れ支援コース、中途採用拡大コース

  • 特定求職者雇用開発助成金:特定就職困難者コース、発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース、中高年層安定雇用支援コース、生活保護受給者等雇用開発コース

  • トライアル雇用助成金:一般トライアルコース、障害者(短時間)トライアルコース

  • 地域雇用開発助成金:地域雇用開発コース、沖縄若年者雇用促進コース

  • 人材確保等支援助成金:雇用管理制度・雇用環境整備助成コース

  • 65歳超雇用推進助成金:高年齢者無期雇用転換コース

  • キャリアアップ助成金:正社員化コース、障害者正社員化コース

  • 人材開発支援助成金:人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース

助成金の要件は、年度やコースによって見直されることがあります。実際に活用を検討するときは、公開時点の厚生労働省の最新資料や、各助成金の支給要領・パンフレットで必ず確認してください。

助成金を活用するためにも日頃の労務管理が重要

ここまで見てきたように、助成金の受給には、申請するコースの要件だけでなく、過去の離職状況も関わってきます。
離職の状況は申請直前に整えられるものではなく、日頃の雇用管理の積み重ねが表れます。

実務で意識しておきたいポイントを6つ紹介します。

1. 退職に至った経緯を把握し、記録しておく

退職の申し出があったときは、誰が、いつ、どのような理由で申し出たのか、面談でどのような話があったのか、会社からの働きかけはあったのかを、事実に沿って記録しておきましょう。後から経緯を説明できる記録は、誤解や行き違いの防止につながります。

2. 離職証明書には、事実に基づいた内容を記載する

離職証明書の離職理由は、実際の経緯に沿って記載するのが原則です。助成金の受給を目的として、離職理由を実態と異なる内容にすることは、助成金の不正受給につながるだけでなく、雇用保険の手続き上も問題となります。離職証明書には、実際の経緯に沿った内容を記載しなければなりません。

3. 労働条件の変更は、適切な手続きで行う

賃金の引き下げなど、労働者にとって不利益になりうる変更は、離職につながりやすい場面です。必要性や内容を丁寧に説明し、本人の同意や就業規則の変更手続きなど、ルールに沿って進めましょう。

4. 退職勧奨や解雇への対応は、慎重に進める

退職勧奨や解雇は、1Aや3Aの離職理由に関わる場面です。経営上、人員体制の見直しが必要になることもあり、助成金を優先して必要な経営判断を見送るべきだという話ではありません。大切なのは進め方です。理由の整理、本人への説明、記録、法令やルールに沿った手続きを慎重に進め、判断に迷うときは実行する前に専門家へ相談しましょう。

5. 就業規則や雇用契約書を、実態に合わせて整備する

キャリアアップ助成金(正社員化コース)では、正社員への転換制度や、正社員と非正規雇用労働者の雇用区分などが、就業規則等で明確になっていることが前提となります。あわせて、退職や解雇の手続き、労働条件の定めを整えておくことは、離職時のトラブルの予防にもなります。就業規則や雇用契約書、労働条件通知書が実際の運用と合っているか、定期的に見直しておきましょう。

6. 助成金の活用を検討するときは、過去の離職状況も確認する

正社員転換の準備を始める際は、次の点を早めに確認しておくと安心です。

  • 転換を予定する日を仮に置いて、離職状況の対象期間を確認する
  • その期間に離職した人がいれば、離職票の離職区分や、離職に至った経緯を確認する
  • 転換予定日時点の事業所の雇用保険被保険者数を確認する
  • 転換後の1年間に、人員体制を大きく見直す予定がないかを確認する

迷う場合は、管轄の労働局や社会保険労務士に確認してください。

助成金の申請を考え始めてから慌てて確認するのではなく、日頃から雇用管理を適切に行い、その延長線上で助成金を活用する。
この姿勢が、従業員との信頼関係を守ることにもつながります。

助成金の活用を検討している企業様へ

キャリアアップ助成金をはじめとする雇用関係助成金は、要件が細かく、年度やコースによって内容が変わることもあります。

当事務所では、次のようなご相談をお受けしています。

  • 自社が活用できる助成金の確認と、受給要件のチェック
  • キャリアアップ助成金をはじめとする助成金の申請サポート
  • 就業規則や雇用契約書・労働条件通知書の整備
  • 退職や離職の手続きなど、日頃の労務管理に関するご相談

「自社の場合はどうなのだろう」「過去の離職がどう影響するのか確認しておきたい」といった段階でも構いません。

助成金の申請を考え始めたときこそ、早めに現状を整理する好機です。お気軽にご相談ください。

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岡山・倉敷助成金申請サポートセンターの助成金サポートについて

「自社の賃上げや設備投資で、使えそうな助成金はあるのか」「制度が発表されたときに、慌てないよう準備したい」という場合は、当事務所の無料相談をご活用ください。

助成金のサポートについて

岡山・倉敷助成金申請サポートセンターでは、雇用に関する助成金申請を専門にサポートさせていただいております。
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