【助成金情報】2026年度版キャリアアップ助成金(賃金規程等改定コース)で経営者が確認すべき注意点|岡山・倉敷

結論:パートの賃金を3%以上上げるなら、申請前の確認が大切です

パートやアルバイトの基本給を引き上げる予定はありませんか。

条件を満たせば、国の助成金を活用できる場合があります。

制度の名前は「キャリアアップ助成金(賃金規程等改定コース)」です。

ただし、この助成金には細かいルールがあります。

ルールを1つ見落とすと、助成金がもらえなくなることがあります。

そのため、社労士へ事前に相談することをおすすめします。

本記事では、経営者が確認すべきポイントを分かりやすく説明します。


制度概要:賃金規程等改定コースとは

この助成金は、有期雇用労働者(パート・アルバイトなど)の処遇改善を支援する制度です。

会社が賃金規程を改定し、基本給を3%以上増額した場合に助成されます。

賃金規程とは、給与の決め方を定めたルールのことです。

たとえば、時給や賃金テーブルを定めたものが該当します。

助成額の目安は、対象労働者1人あたり4万円〜7万円です(中小企業の場合)。

引き上げ幅によって、助成額が変わります。

1つの会社が1年度に申請できる人数には、上限があります。

正確な金額や上限人数は、会社の状況によって異なります。

詳しい金額は、社労士や労働局への確認が必要です。

この助成金は「同一労働同一賃金」を後押しする制度でもあります。

同一労働同一賃金とは、正社員とパートの不合理な待遇差をなくす考え方です。

賃金テーブルを整備し、パートの処遇改善を進めたい会社にとって、活用できる場合があります。


自社への影響:こんな会社は活用を検討できます

以下に当てはまる会社は、活用を検討できる場合があります。

  • パート・アルバイトを雇用している
  • 基本給の引き上げを検討している
  • 就業規則や賃金テーブルの整備を予定している
  • 10人未満の小規模な事業所である

一方で、次のような会社は注意が必要です。

  • パート・アルバイトが経営者の家族(配偶者・子など)のみである
  • 賃金の決め方が口約束のみで、書面のルールがない
  • すでに正社員と同じ賃金テーブルを適用している

これらに当てはまる場合、対象外となる可能性があります。

自社が対象になるかどうかは、個別の状況によって異なります。

判断に迷う場合は、社労士へご相談ください。


実務対応・注意点:申請前に確認すべきポイント

この助成金は、要件が細かく定められています。

以下のポイントを、順番に確認してください。

1. すべての等級を一律で改定する必要があります

賃金規程を改定するときは、原則すべての等級を対象とします。

等級とは、賃金を決めるための区分のことです。

たとえば、経験年数や職務内容による区分が該当します。

現在、対象者がいない等級も、改定の対象に含める必要があります。

特定のパート1人だけを選んで、時給を上げる方法は認められません。

一部の労働者だけを対象にする場合は、就業規則で合理的な区分が必要です。

たとえば、職種別や業務レベル別の区分などです。

2. 「時給単価」の端数は、切り上げで安全に設定しましょう

引き上げる時給を計算するとき、円未満の端数が出ることがあります。

このとき、端数を切り捨てて時給を設定すると、注意が必要です。

実際の昇給率が3%をわずかでも下回ると、助成金は支給されません。

たとえば、昇給率が2.99%になった場合は対象外となります。

この端数処理のミスは、申請後の修正ができません。

確実に受給するために、時給単価の端数は「切り上げ」で設定することをおすすめします。

なお、申請書に記入する「昇給率(%)」自体の計算方法は、国のルールで決まっています。

計算結果の小数点第2位以下を「切り捨て」て記入する決まりです。

時給を決めるときのルールと、申請書に記入するときのルールは、別のものです。

この違いを混同すると、申請書の記入ミスにつながります。

社労士による事前のシミュレーションを活用すると、安心です。

3. 改定の前後で、一定期間の運用実績が必要です

改定前の賃金規程は、適用前に3か月以上運用されている必要があります。

運用とは、実際にその規程どおりに給与を支払うことです。

「うちには、そもそも書面の賃金規程がない」という会社様もあるかもしれません。

そのような会社でも、今回新たに賃金規程を整備して取り組む場合は、対象になる可能性があります。

その場合は、改定前3か月分の給与支払い実績(賃金台帳)を確認できることが条件です。

改定後の新しい賃金規程は、6か月以上運用する必要があります。

対象となる労働者も、改定日の前日から3か月以上前に雇用されている人に限られます。

直近で採用したばかりの従業員は、対象になりません。

早めに準備を始めることで、スケジュールに余裕を持って進められます。

4. キャリアアップ計画書は、改定前に提出が必要です

この助成金を活用するには、事前の計画書提出が必要です。

計画書は、賃金規程の改定を適用する前日までに、労働局へ提出します。

適用後に提出しても、原則として認められません。

早めに社労士へ相談し、計画書の準備を進めることをおすすめします。

5. 10人未満の会社でも、書面のルールが必要です

従業員10人未満の会社は、就業規則の届出義務がありません。

ただし、この助成金を活用するには、書面によるルールが必要です。

口約束だけの昇給では、申請できません。

また、労使双方が確認したことを示す申立書も必要です。

労使とは、労働者側と会社側という意味です。

小規模な会社でも、社労士に相談しながら準備を進めれば対応できます。

6. 経営者の家族(3親等以内)は対象外です

パート・アルバイトとして働く方が、経営者の配偶者や子どもなどの場合、対象外となります。

3親等以内の親族が該当します。

実際の勤務実態が適正であっても、対象外となる点にご注意ください。

7. 対象労働者は、雇用保険に加入している必要があります

助成金の対象となる労働者は、雇用保険の被保険者である必要があります。

雇用保険に加入していないパート・アルバイトは、対象になりません。

週の労働時間なども関わるため、事前に加入状況を確認してください。

8. 最低賃金の引き上げには、スケジュール管理が必要です

毎年秋には、地域別最低賃金の改定が行われます。

岡山県・倉敷市などのエリアも対象です。

法律違反を避けるために義務的に引き上げた分は、3%の算定に含められません。

確実に受給するために、最低賃金の発効日「前日まで」に、自主的な引き上げを完了させることをおすすめします。

早めにスケジュールを立てることで、余裕を持って対応できます。

9. その他の確認ポイント

  • 同一の労働者に、他の処遇改善コースを重複して申請することはできません
  • 諸手当を減額して基本給の増額分を相殺することは認められません

これらの詳細は、会社ごとの状況によって取り扱いが異なります。

個別の判断が必要な場合は、社労士へご相談ください。


よくある誤解

助成金の活用にあたり、次のような誤解にご注意ください。

誤解1:有期契約のパートなら、誰でも対象になる

実際は、雇用期間や賃金規程の運用期間など、複数の条件があります。

条件によって、対象にならない場合もあります。

誤解2:優秀なパート1人だけを選んで時給を上げればよい

実際は、原則すべての等級を対象に改定する必要があります。

一部限定には、就業規則上の合理的な区分が必要です。

誤解3:10人未満の会社なら、口約束の昇給で申請できる

実際は、書面による客観的な規程と、労使の申立書が必要です。

誤解4:時給を少し上げるだけで、会社の負担はない

実際は、増額後の給与を6か月間支払ってから申請する流れです。

そのため、給与アップ分は会社が先に負担する必要があります。


FAQ

Q1. パート1人だけの時給を上げれば申請できますか?

原則として、すべての等級を一律で改定する必要があります。

一部の労働者に限定する場合は、就業規則上の合理的な区分が必要です。

個別のケースは、社労士へご確認ください。

Q2. 就業規則がない小規模な会社でも申請できますか?

10人未満で届出義務がない会社でも、「就業規則」または「賃金規定(賃金テーブル)」を書面で新しく作成し、必要な規定を整備してあらかじめ労働者に明示(周知)しておく必要があります。適切に準備を進めていくことで、活用できる場合がありますので、社労士へご相談ください。

Q3. 経営者の家族をパートとして雇用していますが、対象になりますか?

配偶者や子どもなど、3親等以内の親族は対象外です。

Q4. 申請後に計算ミスに気づいた場合、修正できますか?

原則として、申請後の差額の追給や、書類の差し替えは認められません。

そのため、申請前のシミュレーションが重要です。

Q5. 昇給制度を新しく作ると、メリットはありますか?

賃金規程の改定と合わせて、すべての有期雇用労働者等に適用される「昇給制度」を就業規則に新たに規定すると、加算を活用できる場合があります。

加算額の目安は、1事業所あたり20万円です(中小企業の場合。1回限り)。

制度設計のハードルは比較的低いため、検討する価値があります。

詳しい適用条件は、社労士へご相談ください。


チェックリスト

申請を検討する際は、以下をご確認ください。

  • すべての等級を対象に、3%以上の改定を予定しているか
  • 端数処理を「切り上げ」で行う準備ができているか
  • 改定前の賃金規程を3か月以上運用しているか
  • 改定後、6か月間運用できる見通しがあるか
  • 対象労働者が、改定前日から3か月以上前に雇用されているか
  • キャリアアップ計画書を、賃金改定が実際に適用される「前日まで」に労働局へ提出・受理完了できるスケジュールになっているか
  • 就業規則や賃金テーブルが、書面で整備されているか(新規整備の場合は改定前3か月分の賃金台帳があるか)
  • 対象のパート社員が、雇用保険の被保険者になっているか
  • 対象労働者に、経営者の3親等以内の親族が含まれていないか

チェックが不安な項目がある場合は、社労士へご相談ください。


まとめ

キャリアアップ助成金(賃金規程等改定コース)は、パートの処遇改善を後押しする制度です。

一方で、要件が細かく、1つのミスで不支給になることもあります。

大切なのは、申請前に自社の状況を確認することです。

早めに準備を進めることで、スムーズに活用できます。


無料相談のご案内

「自社が対象になるか分からない」「端数処理に不安がある」という方は、お気軽にご相談ください。

社労士が、時給の増額シミュレーションを事前に確認いたします。

就業規則や賃金テーブルの整備についても、あわせてサポートいたします。

岡山・倉敷エリアの経営者様からのご相談も承っております。

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