【助成金情報】50代以上の有期社員を無期転換で戦力に変える助成金、受給の鍵|岡山・倉敷

50代の有期社員を戦力に変える助成金、受給の鍵は「スケジュール」と「就業規則」の事前整備
- 50代以上の有期契約社員を無期雇用に転換することで、1人あたり最大40万円の助成金を受給できる制度があります
- ただし、「思い立ってすぐ転換すればもらえる」は大きな誤解です
- 受給するには転換の3〜6か月前から動き出す計画と、就業規則の事前整備が必須です
- 要件を満たすか、いつ動くべきかを確認するには、早めに専門家へ相談することが有効です
1. なぜ今、シニア社員の「無期転換」が注目されているのか
人手不足が続く中、50代・60代のベテラン社員を長期的な戦力として定着させることが、多くの中小企業にとって重要な経営課題になっています。
そこで活用できる可能性があるのが、「65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)」です。
この助成金は、50歳以上の有期契約労働者(いわゆる契約社員やパートなど)を無期雇用(期間の定めのない雇用)に転換した事業主が対象です。うまく活用できれば、対象者1人あたり最大40万円(中小企業以外は30万円)の支給を受けられる場合があります。
ただし、この助成金には「事前にやっておくべきこと」が多く、知らずに進めると対象外になってしまうリスクがあります。
以下で、特に中小企業の経営者が見落としがちなポイントを整理します。
2. 制度の基本情報:いくら、誰に、いつ支給されるか
支給額
| 区分 | 1人あたり支給額 |
|---|---|
| 中小企業事業主 | 40万円 |
| 中小企業以外 | 30万円 |
※1つの申請年度・1つの適用事業所あたりの上限は10人分です。
対象となる労働者の主な要件
以下のすべてを満たす有期契約労働者が対象となります(条件によって異なります)。
- 転換日において50歳以上かつ定年年齢未満であること
- 同じ事業主のもとで有期契約労働者として通算1年以上5年以内の雇用期間があること
- 無期雇用に転換した後、原則65歳以上まで雇用される見込みがあること
ポイント: 「50代の契約社員であれば誰でも対象になる」わけではありません。雇用期間が6か月や10年の方は対象外となる場合があります。まず要件確認が必要です。
支給のタイミング
無期転換をしても、すぐには支給されません。転換後に6か月以上継続して雇用し、その6か月分の賃金を支払った後に申請が可能となります。助成金の受け取りまでには、転換からさらに数か月かかる見込みです。資金繰り計画には、この点を織り込んでおく必要があります。
詳しい支給条件・申請要件については、~65歳超雇用推進助成金高年齢者無期雇用転換コース~ もご覧ください。
本記事は令和8年度の申請要件に基づいて作成しています。制度の内容は年度ごとに変更される場合がありますので、申請前に必ず最新の手引きをご確認ください。
3. 中小企業が陥りやすい「2つの落とし穴」
落とし穴① スケジュールの誤解——転換の前に「計画認定」が必要
この助成金の最大の特徴は、転換の前に必ず「無期雇用転換計画」の認定を受けなければならないという点です。
手続きの流れはこうなります。
① 計画書を作成して申請(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構へ)
↓
② 機構から「計画認定」を受ける
↓
③ 認定された計画に基づいて、無期雇用への転換を実施
↓
④ 転換後6か月以上の継続雇用+6か月分の賃金支払い
↓
⑤ 支給申請(支払い翌日から2か月以内)
さらに、計画申請ができる期間が決まっています。計画の開始日の「6か月前の日から3か月前の日まで」の間に申請しなければなりません。
つまり、「来月から転換したい」と思っても、申請できる時期が過ぎていれば対象外になります。今から準備を始めた場合、実際に転換できるのは最短でも3〜4か月後以降です。
早めに動き出すことで、計画的に受給へと進められます。
落とし穴② 就業規則の整備——「10人未満でも届出が必要」
就業規則の労働基準監督署への届出が、この助成金の申請要件の1つです。
通常、労働基準法では従業員が10人未満の事業場は就業規則の作成・届出が義務付けられていません。しかし、この助成金を申請する場合は、10人未満であっても就業規則を作成し、その中に「無期雇用への転換ルール(転換時期等が明示されたもの)」を規定した上で、労働基準監督署へ届け出ている必要があります。
「うちは小さい会社だから就業規則はない」という場合はもちろん、既に就業規則があっても無期転換ルールが規定されていない場合は、申請前に整備・改定が必要です。
落とし穴に気づいたら:助成金を機に労務体制を整えるチャンス
就業規則の整備は、助成金のためだけでなく、職場の労務トラブル防止や従業員との信頼関係づくりにもつながります。助成金申請を機に、自社の労務管理体制を見直す好機と捉えることができます。
4. 計画申請前に「やっておかなければならないこと」
計画書を提出する前日までに、以下を実施しておく必要があります。
① 高年齢者雇用等推進者の選任
高齢者の雇用管理を担当する社内の責任者(推進者)を選任します。
② 以下のいずれか1つ以上の措置の実施
- 職業能力の開発・向上のための教育訓練の実施
- 作業施設や作業方法の改善
- その他、高年齢者の雇用管理に関する措置
これらは「計画書提出の前に実施済みであること」が条件です。計画書を出してから取り組んでも認められません。
5. よくある誤解
❌ 誤解①「50代の契約社員なら誰でも対象になる」
→ 正しくは: 対象者には複数の厳格な条件があります。「50歳以上かつ定年未満」「雇用期間が通算1年以上5年以内」「転換後65歳以上まで雇用見込み」などの要件をすべて満たす必要があります。
❌ 誤解②「申請すれば必ずもらえる」
→ 正しくは: 計画認定から転換の実施、6か月継続雇用と賃金支払い、支給申請と審査というすべての段階を正確に進める必要があります。手続きに漏れや誤りがあると不支給になる場合があります。
❌ 誤解③「無期転換したらすぐに助成金が受け取れる」
→ 正しくは: 転換後6か月分の賃金を支払った後に申請が可能となります。実際に入金されるまでには相当な期間がかかります。
❌ 誤解④「就業規則がなくても申請できる」
→ 正しくは: 従業員10人未満の事業場でも、申請日前日までに就業規則を作成して労働基準監督署へ届け出ておく必要があります。
6. FAQ
Q1. 雇用期間が「通算1年以上5年以内」とはどういう意味ですか?
同じ事業主のもとで、有期契約を更新しながら働いている場合、その合計期間が「1年以上5年以内」でなければなりません。たとえば、雇用期間が6か月の方や6年を超えている方は対象外となる場合があります。対象となるか不明な場合は、専門家への確認をお勧めします。
Q2. 無期転換と「無期雇用転換ルール(労働契約法5年ルール)」は別のものですか?
はい、別の制度です。労働契約法の5年ルールは、有期契約が通算5年を超えた場合に労働者が申し込めば無期転換できる仕組みです。このルールに基づいて労働者からの申込みにより無期転換した場合は、本助成金の対象外となります。 本助成金は、5年を超える前に会社側が就業規則等の規定に基づき計画的に無期転換を行う場合を対象としており、別途の要件と手続きがあります。
Q3. 今、50歳以上の契約社員が1名います。すぐに転換手続きを始めれば助成金をもらえますか?
まず対象者の要件(雇用期間・年齢・定年との関係など)を確認する必要があります。要件を満たしていても、計画申請〜転換実施〜賃金支払い〜申請という手順があるため、最短でも転換まで数か月、受給までにはさらに時間がかかります。早めに専門家(社会保険労務士)に相談して、受給可能性とスケジュールを確認されることをお勧めします。
Q4. 就業規則がない場合、今から作れば申請できますか?
申請日前日までに就業規則を作成し、その中に無期転換ルールを規定した上で労働基準監督署への届出が完了していれば、要件を満たせる可能性があります。ただし、就業規則の作成には内容の検討や法令適合性の確認が必要なため、早めに着手することが大切です。社会保険労務士に依頼すると、助成金申請と就業規則整備をあわせて進めることができます。
Q5. 「高年齢者雇用等推進者」とは何ですか?社外の人でも選任できますか?
高齢者雇用に関する社内の取り組みを推進する責任者です。特定の資格は不要で、自社の社員から選任することが一般的です。選任の正確な要件については、社会保険労務士または独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構へご確認ください。
7. 受給に向けた準備チェックリスト
受給に向けて、以下の項目を確認してみてください。
【対象者の確認】
- 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者がいる
- その方の通算雇用期間が1年以上5年以内である
- 転換後、65歳以上まで継続雇用する予定がある
【就業規則の確認】
- 就業規則が作成されている
- 就業規則の中に「無期雇用への転換ルール(転換時期等を明示)」が規定されている
- 労働基準監督署に届け出済みである(10人未満の事業場も対象)
【事前措置の確認(計画書提出前日までに実施が必要)】
- 高年齢者雇用等推進者を選任している
- 高年齢者向けの教育訓練または作業環境改善等を1つ以上実施している
【スケジュールの確認】
- 転換を計画している開始日の6か月前〜3か月前の間に計画申請できる見通しがある
- 転換後6か月以上の継続雇用・賃金支払いが可能である
8. まとめ
65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)は、50代以上のシニア人材を長期戦力として活かしたい中小企業にとって、活用できる可能性がある制度です。
ただし、受給には計画的なスケジュール管理と就業規則等の環境整備が欠かせません。
- 転換の実施は「計画認定後」でなければならず、転換の3〜6か月前からの準備が必要
- 従業員10人未満でも就業規則の作成・届出が必要で、かつ無期転換ルールの規定が必要
- 対象者の要件は厳格で、事前確認が不可欠
これらの手続きを正確に進めるには、制度に精通した社会保険労務士のサポートを受けることをお勧めします。
9. 岡山・倉敷エリアの経営者様へ:まずは無料相談で受給診断を
「自社の契約社員は対象になる?」「就業規則の整備から一緒にお願いできる?」「今から動いて間に合う?」
こうした疑問は、無料相談でお気軽にご確認ください。
当事務所では、岡山・倉敷エリアの中小企業様を対象に、助成金の受給可能性の診断から申請手続きの支援、就業規則の整備まで、まとめてご支援しています。
シニア社員の戦力化と労務体制の整備を、ぜひこの機会に前向きに進めましょう。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、個別の助成金受給を保証するものではありません。最新の要件や詳細については、必ず社会保険労務士または関係機関へご確認ください。





