【助成金情報】令和9年度の助成金はどうなる?厚生労働省の予算概算要求から読み解く今後の方向性|岡山・倉敷

厚生労働省の令和9年度予算の概算要求では、「賃上げ」「生産性向上(少ない人手や時間で成果を上げること)」「人材育成」に関わる項目が重点として示されています。
概算要求(がいさんようきゅう)とは、各省庁が「来年度はこのくらいお金が必要です」と、財務省に出す要望書のようなものです。
「決定」ではないため、要求された金額や内容が、そのまま来年度の制度になるとは限りません。
また、令和9年度の助成金が確定したわけではありません。
経営者の方が今できることは、次の3つです。
- 自社の賃上げ・設備投資・人材育成の予定を整理しておく
- 制度の内容は、今後の発表を確認する
- 迷ったら、早めに社労士へ相談する
令和9年度は「賃上げ支援」が大きな柱
厚生労働省の概算要求では、「業務改善助成金等の『賃上げ』支援助成金パッケージ等」として、次のとおり示されています。
| 項目 | 令和8年度(当初予算額) | 令和9年度(概算要求額) |
|---|---|---|
| 「賃上げ」支援助成金パッケージ等 | 1,250億円 | 2,016億円 |
令和8年度から金額が大きく増える形で要求されており、賃上げの支援が重要なテーマとして位置づけられていることがわかります。
この「パッケージ」には、概算要求の資料上、次のような助成金が並んでいます。
- 業務改善助成金
- 働き方改革推進支援助成金
- 人材開発支援助成金
- 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
- キャリアアップ助成金(正社員化コース・賃金規定等改定コース)
- 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース・中途採用拡大コース)
- 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)
「最低賃金・賃金の引上げ」に向けて、中小企業等を支援する方向性が示されています。
業務改善助成金は「賃上げ+設備投資」に注目
賃上げ支援のパッケージの中でも、特に注目したいのが業務改善助成金です。
業務改善助成金は、令和9年度概算要求で『「強く豊かな日本」投資枠』を活用する事項として位置づけられています。
つまり、「賃上げ」だけでなく、設備投資や生産性向上と組み合わせて取り組む企業を支えるという方向性が読み取れます。
たとえば、次のような取り組みを考えている会社は、今後の情報に注目しておくとよいでしょう。
- 最低賃金の引き上げに対応しながら、時給を見直したい
- 作業の効率化のために、機械やシステムを入れ替えたい
- 賃上げと業務の効率化を、同時に進めたい
ただし、令和9年度の対象となる会社の条件、設備の範囲、支給の条件などは、概算要求の段階では確定していません。現在の制度の内容は、次のページで確認できます。
人材育成ではリ・スキリング(学び直し)を重視
リ・スキリングとは、仕事に必要な新しい知識や技術を学び直すことです。
概算要求では、「処遇向上に向けたリ・スキリング支援や生産性向上」が次のように示されています。
| 項目 | 令和8年度(当初予算額) | 令和9年度(概算要求額) |
|---|---|---|
| 処遇向上に向けたリ・スキリング支援や生産性向上 | 1,478億円 | 1,859億円 |
この中には、「17の戦略分野等におけるリ・スキリング人材育成加速化プラン」も示されています。
また、人材開発支援助成金による、業界団体等に対する訓練プログラムの開発支援等も、この項目に含まれています。
従業員の研修や学び直しを考えている会社は、今後の制度の動きを確認しておくと安心です。
非正規雇用の処遇改善も注目分野
非正規雇用とは、パート、アルバイト、契約社員など、正社員以外の働き方のことです。
賃上げ支援のパッケージには、キャリアアップ助成金のうち、次の2つのコースが含まれています。
パートやアルバイトの方の待遇を見直したい会社にとって、気になる分野といえます。
医療・介護・福祉では新たな支援も
医療・介護・福祉の分野では、令和8年度の当初予算額には記載がなく、令和9年度の概算要求で新たに計上された項目があります。
| 項目 | 令和8年度(当初予算額) | 令和9年度(概算要求額) |
|---|---|---|
| 医療・介護・障害福祉のテクノロジー導入等への支援 | なし | 283億円 |
| 医療・介護・福祉のエッセンシャルワーカーの確保 | なし | 138億円 |
資料では、次のような内容が示されています。
- AI活用を含む介護テクノロジーの導入・協働化・経営改善などへの支援
- 障害福祉分野でのテクノロジー導入等への支援
- 医療・介護・福祉分野のエッセンシャルワーカーの確保に向けた支援
- 介護・障害福祉の人材確保に向けた、未経験者等への研修支援
- 外国人・障害者を含む多様な人材の参入促進・定着支援
なお、283億円は『「強く豊かな日本」投資枠』を活用する分として示されたものです。
これらが新しい助成金として始まるのか、どのような形で実施されるのかは、現時点ではわかりません。
医療・介護・福祉分野で事業をされている方は、今後の発表に注目しておきましょう。
令和9年度に向けて今から確認したいこと
制度が確定していなくても、会社の側で整理しておけることがあります。
自社の予定を書き出してみましょう。
- 賃上げの予定はありますか?(時期・対象となる従業員)
- 最低賃金の引き上げで、影響を受けそうな従業員はいますか?
- 機械・設備・システムなどの導入予定はありますか?
- 従業員の研修や学び直しの予定はありますか?
- パートやアルバイトの待遇を見直す予定はありますか?
予定が整理できていれば、制度の内容が発表されたときに、自社に関係するかどうかをすばやく判断できます。
助成金を考えるときの基本の注意点
- 助成金は、申請すれば必ず受け取れるものではありません。制度ごとに、対象となる会社の条件や支給の条件があります。
- 条件を満たしていない場合や、手続きの順番・期限を守れなかった場合は、対象外となることがあります。
- 制度の内容は、年度ごとに変わることがあります。最新の情報は、厚生労働省などの公式発表で確認してください。
自社が対象になるか、どの時期に何を準備すべきかは、会社の状況によって異なります。判断に迷う場合は、社労士にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1.令和9年度の助成金は、もう決まったのですか?
いいえ、決まっていません。この記事で紹介した内容は、厚生労働省の概算要求(来年度に向けた要望)の段階のものです。
今後の予算編成や制度の見直しなどによって、内容が変わる可能性があります。
Q2.今から企業が準備できることは?
賃上げ・設備投資・人材育成など、今後の制度と関連しそうな自社の計画を整理しておきましょう。
そのうえで、今後発表される制度の内容を確認し、自社に合うかどうかを検討する流れが基本です。
まとめ
令和9年度の厚生労働省の概算要求では、次のような方向性が示されています。
- 賃上げ支援:1,250億円 → 2,016億円(概算要求額)
- リ・スキリング支援や生産性向上:1,478億円 → 1,859億円(概算要求額)
- 業務改善助成金:『「強く豊かな日本」投資枠』を活用する事項として位置づけられ、賃上げと設備投資・生産性向上の組み合わせに注目
- 医療・介護・福祉:テクノロジー導入等の283億円、エッセンシャルワーカー確保の138億円が新たに計上
令和9年度は、賃上げ・生産性向上・人材育成などが重要なテーマになりそうです。ただし、これは概算要求であり、制度の内容は今後確定していきます。
参考資料 厚生労働省「令和9年度厚生労働省所管予算概算要求関係」
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/27syokan/index.html
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